Agent of Divinity

ポケモンのクイズと特殊ルール

ポケモンっぽい生き物の一覧

タイムラインで「ポケモンっぽい生き物」の記事が回ってきたので、自分でも集めてみることにした。クイズに役立つといえばそうだが、ここに挙げたことで逆説的に出なくなったとも言える。

なお筆者はゲーム本編以外素人なので、ここ間違ってるよとか、これも入らない?とかあったら是非教えてほしい。

 

 

カテゴリー①ポケモン派生

 

ゆうれい…言わずと知れた元祖擬似ポケモン。正体はゴース、ゴースト、ガラガラ。

冬虫夏草…パラスに生えているキノコ。本来的には子嚢菌類バッカクキン科に属する菌類の一群。これ以外にもインド象をはじめリアル動植物が多岐にわたり散見されるが、主旨から外れるので以後すべて割愛。

プロト三犬(仮称)ライコウエンテイスイクンの生前の姿。『ポケモンジェネレーションズ』にて影のみ描写あり。

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*1

ジガルデコア/ジガルデセル…コアは脳の役目で、セルは意思を持たない部品。こないだポケマスに出演を果たした。

https://twitter.com/pokemas_game/status/1503974344225030145?s=21


かがやきさまネクロズマがかつてウルトラメガロポリスに君臨していた時の称。あくまでネクロズマの一形態と考えれば、ポケモンとみなしても自然。

コピーポケモン…『ミュウツーの逆襲』でミュウツーが作ったコピーたち。のちGOやカードゲームにも登場し、ポケモンと扱われている。

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*2

 

デオキシス・シャドー…『裂空の訪問者 デオキシス』でデオキシスが量産した分身。おそらく意思は持っておらず、一定のダメージを受けると破壊される。

〜の化石(カードゲーム)…概ね、ポケモンとして場に出せるトレーナー/グッズという扱い。元々のカテゴリー自体がポケモンな「ちていのかせき」というイレギュラーも存在する。

ポクセル…『ポケモンエスト』に登場する、角ばった形状のポケモン。由来などの説明が一切ないどころか、この単語自体ゲーム内では使われず、用例は公式サイトとリアルグッズのみというかなり謎な存在。

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*3


ブラックフォッグ…『電撃!ピカチュウ』に登場した、「恐ろしくレベルの高いゴースト」。規格外の大きさと強さを誇り、デザインも通常のゴーストとは一線を画している。数年おきに現れては人やポケモンの命を奪う。

 デオキシス・ディバイドポケスペデオキシスが量産した分身。デザインからして明らかに劇場版を意識している。

 

 

カテゴリー②ポケモン+ポケモン

 キュレム完全体(仮称)…双子の英雄が従えていたという伝説のドラゴンポケモンキュレムと書いたものの、本当にキュレムの原形かどうかは定かでない。あくまでシャガの推測。

 フシギックス…「ゆうれいポケモンとなつまつり」でゴースが披露した幻覚。幻覚なのでポケモンではない。

 レックウザ(仮称)…アニポケDP第43話にて、ムウマージの作り出した夢の世界で、ムウマージ自身と合体したレックウザ。体色はムウマージのそれを踏襲しており、厨二心をくすぐる禍々しい風貌となっている。


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*4


メタグロスパーフェクトフォーム…アニポケXY第130話のミニコーナー「ポケラブTV」で登場。ダンバルメタング2体、メタグロスメガメタグロスが無理矢理合体させられた。

ハイパーウルトラレアレアレアコイル…新無印第93話にて、無数のコイルが異常電波を受け一箇所に集合する事件が発生、「究極の一体」になろうとしているとサクラギは解説した。命名はサトシによる。

https://twitter.com/anipoke_pr/status/1483318235735158787?s=21

 

ミュウスリー…穴久保版でピッピがミュウツーの遺伝子を得たことにより誕生。これ以外にも初期穴久保版では正体不明のポケモン?が多数確認されている。

 サ・ファイ・ザーポケスペの三鳥合体形態に対する呼称。ただこれ、そもそも名前か疑わしい。「サ・ファイ・ザー」という文字列は、特に説明なく劇中のセリフに一回出てくるのみで、この「・」はただの並列(=紙面の都合上フキダシを小さくするため名前を略しただけ)の可能性がある。実際、英版の同じ箇所では普通に3匹全員の名前を呼んでおり、「サ・ファイ・ザー」にあたる用語は存在しない。まぁ名前がなんにせよ、こういう合体生物がいたのは確か。

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 *5



カテゴリー③ポケモン+何か

マサキ…ぼくポケモン

 ロトム…図鑑外キャラとしてロトム図鑑、スマホロトム、ドローンロトムロトムじてんしゃ、ロトミがいる。まぁポケモン判定でよさそう。

 マザービースト(仮称)ウツロイドと一体化したルザミーネ。「お前が戦え」とよく言われる。

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サトチュウ(仮称)…アニメ無印第241話にて、魔法によりピカチュウ化してしまったサトシに対する呼称。

 ベロベルト男爵…『ディアルガVSパルキアVSダークライ』にて、悪夢によりベロベルト化してしまったアルベルト男爵に対する呼称(こちらは公式)。ベロベルトのまま「まきつく」を使用するシーンがある。

 デスマスデント(仮称)…アニポケBW14話でデスマスに取り憑かれたデント。鬼火らしき技(?)を使用。顔面のみデスマスという強烈なビジュアルでインパクトを残した。

 サトキング/ゴウキング…新無印26話に登場。ピカチュウ版とラビフット版もあるが名称不明。また97話ではガラルサトキングが新たに誕生している。

 https://twitter.com/anipoke_pr/status/1493102705581387776?s=21

 

アーマードミュウツー…劇場版に登場する、拘束具をつけた状態のミュウツー。GO、カード、およびポケモンキッズでこの名称が使われている。

 https://twitter.com/pokemongoappjp/status/1146954852871921665?s=21

 

ダークミュウツー…『ポッ拳 POKKÉN TOURNAMENT』に登場。ミュウツーが「黒共鳴石」と一体化した姿。Wii U版では条件を満たすとプレイアブル化する。

 ショウコ…ゲンガーになっちゃった人。

 リョウガゼクロムになれた人。他にもポケモンになれる人が多数いる。

 

 

カテゴリー④人工生命

ソウルハートマギアナの本体。500年前の天才科学者によって作り出された。劇場版ではキーアイテムの役目を果たす。 

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*7

 

タイプ:フル…対UB用戦闘生命体。開発当初の名称はBK(Beast Killer)。3モデル製造されたが、いずれも起動エラーのち暴走。プロジェクトは凍結され、タイプ:フルはヌルという不名誉な名前で上書きされた。

 ポリゴン0号機…「でんのうせんしポリゴン」の回で登場した、アキハバラ博士による試作品。額に「0」のマークがある。

 メタ・グラードン…『七夜の願い星 ジラーチ』でバトラーが予期せず生み出した怪物。ポケモン映画公式サイトの「活躍したポケモンたち」の項にリストインしているので、れっきとしたポケモンといえる。

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*8

 

ミラージュポケモン…『戦慄のミラージュポケモン』に登場。「ミラージュシステム」で構築されるホログラフで、本来ありえない技を使えたり(e.g. ボスゴドラの電磁波、タネマシンガン)、弱点を消せたり、ミュウツーの腕からレックウザが生えたりとやりたい放題。

 MechaMew2…2000年代初頭にアメリカなどで上演されたミュージカル『Pokémon Live!』のオリジナルキャラクター。サカキがミュウツーをベースに作り上げたロボットで、あらゆるポケモンの技をコピーし、強化した上で返す能力を持つ。

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*9

 

 

カテゴリー⑤自称ポケモン

 Nポケモンの子。 

アラベスクタウンの芸術家

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*10

 ココポケモンの子。カードでは本当にポケモン扱いされている。

 

  

カテゴリー⑥劇中劇

 ポケウッドのキャラクター…明らか人間の「モニカ」や「カラテオー」、どう見てもただの機械な「てんそうき」など個性豊かな連中がポケモンバトルの形式で飛び出してくる。「黒扉」が草タイプだったり「UFO」が自己再生を使えたりとツッコミ所が多い。

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*11

 

ポケンジャー…XYゲーム内のテレビ番組、『特性戦士 ポケンジャー』に登場するヒーロー。電磁波と破壊光線を使えることが判明している。

 

 

カテゴリー⑦分類不能

 ポケルス…ゲーム中では「ポケモンにくっつく小さな生命体」としか説明されていない。名前の通りウイルスであるなら、ポケモンどころか生命体であるかも怪しい。

 きょじんたち…神話で「そのもの(アルセウス)」が倒したという巨人達。詳細不明。

 もりのなかでくらすポケモン…「もりのなかで くらす ポケモンが いた もりのなかで ポケモンは かわを ぬぎ ひとにもどっては ねむり またポケモンの かわを まとい むらに やってくるのだった」

 世にも恐ろしい化けもんカゴメ昔話に登場。空から降ってきた隕石に潜んでおり、晩になると冷風を伴って人里に現れ、人やポケモンをとって食うらしい。説明はないが、まずキュレムとみてよかろう。

 セレビィ・ゴーレム…『セレビィ 時を超えた遭遇』でセレビィが草木を集めて作った人形(?)。この用語、出典が確認できなかったので、知っている人は教えてほしい。(2022/3/22追記:出典確認)

 邪悪な怪物…その昔アルトマーレを襲ったという正体不明の怪物。こころのしずくの力により退散した。災害か何かの比喩かもしれない。

 葉白球…『ミュウと波導の勇者ルカリオ』に登場したスライム状の何か。「世界のはじまりの樹」内部にひそみ、侵入者を攻撃する。ポケモンの姿を模すこともある(わかりづらいが、画像はおそらくユレイドルのそれ)。

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*12


闇の審判ポケダンの救助隊シリーズに登場する謎の存在。ポケモンがどうとか以前に、セリフのみでビジュアルイメージすら存在しない。

 くろのラスト…『スーパーポケモンスクランブル』に出てくるネジ。ポケモンではない。

 氷触体… 『マグナゲートと∞迷宮』に出てくる氷のような何か。ポケモンではない。

 虚無の影、ダークマター…『ポケモン超不思議のダンジョン』の敵キャラ。ポケモンではないが、虚無の影はポケモンの姿を真似ることができる。

 みがわりロボ フレア団ギア/リーリエのピッピ人形ポケモンとして場に出せるグッズ。流石にポケモンとは言いがたい。

 ナッシ〜くん…「ポケモンだいすき!アローラ観光ガイド」案内人の1人。語尾はアローラ。ご当地キャラクターと言い張っているが、どこのご当地キャラクターなのかすらわからない。*13

モンボー…ダイオーキドの助手的存在(?)で、『Pokémon HOME』の使い方をプレイヤーにレクチャーする。たぶんポケモンではない。

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*14


マリン…『ポケットモンスター PiPiPi★アドベンチャー』にて、第18話の扉絵にのみ登場したオリジナルキャラクター。読者応募企画から生まれたキャラらしいが詳細不明。情報求む。

 

 

カテゴリー⑧ジョーク

 カルロ…伝説のゲーム『ポケモンコマスター』のエイプリルフール企画で公開されたフェイクフィギュア。レアリティはEX。本来はポケモンでもなんでもなく、プレイヤーをサポートするAIに付けられた名前。対戦相手のデバイスを強制終了する「シャットダウン」など、普段のおちゃらけた態度からは想像もつかない凶悪性能で話題となった。

https://twitter.com/pokemoncomaster/status/980235887203135488?s=21

 

MサチコEX小林幸子EXは未実装。

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*15


ポケタイムスhttps://twitter.com/poke_times/status/1230733943315415045?s=21

 

 

以上。思いついたら追記します。




確定ポイントの話

ケモンクイズを作る際に気をつけるべきことについて、「確定ポイント」をテーマに語ります。
ポケモン以外のクイズにもある程度通じる内容です。わかってる人には「何を今更」みたいな話です。
 
注意事項
※『みんはや』での早押しクイズを前提とします。
※あくまで一個人の意見であり、絶対的な正しさを保証するものではありません。特に今回の主張にはいささか極端な内容が含まれるため、合わないと感じた部分は無視していただいて構いません。
 
以下常体
 
 
確定とは
クイズには「確定」という概念がある。ある問題について、その問題がただ一つの解答を不足なく指定できている状態を「確定している」と呼ぶ。
 
例えば「ピカチュウの進化形は?」と聞いた場合、想定しうる正答は基本「ライチュウ」のみだが(「ライチュウex」とか難癖つけようと思えばできる)、「イーブイの進化形は?」だと少なくとも8種類いるため、追加の情報がないと「確定」しない。この場合「みずタイプ」とか「みずのいしで進化」とかいった情報を加えてやることで「シャワーズ」1択に絞ることができ、めでたく「確定」となる。
 
また「フシギダネの進化形は?」という問題の場合、普通なら「フシギソウ」と答えるところだが、「フシギバナ」も誤りとは言い切れず、解答者に恣意的な判断を強いることになる。このような問題は「確定が甘い」と言われ、悪問とみなされる。
 
 
確定ポイント
早押しクイズにおいて問題文を最後まで読まないと答えが確定しないというケースは稀で(というか歓迎されない)、普通はある一定の地点まで読んだ時点で1択に絞り込める(=確定できる、そこで押せる)ようになっている。
次のような問題があったとして
 
Q.2021年に国土交通省から「水の日」応援大使に任命された、イーブイに「みずのいし」を使うことで進化する「あわはきポケモン」といえば何でしょう?
 
この問題の場合、「水の日」応援大使なる肩書きを持つ存在は、世界中見渡してもシャワーズをおいて他にない(たぶん)ため、「〜応援大使」まで読んだ時点で答えが「シャワーズ」に確定する。
この「その地点まで読んだ段階で答えが確定する箇所」を「確定ポイント」と呼び、問題文中に記号「/」を挿入してそこが確定ポイントであることを示す。先程の問題であれば
 
Q.2021年に国土交通省から「水の日」応援大使/に任命された、イーブイに「みずのいし」を使うことで進化する「あわはきポケモン」といえば何でしょう?
 
となる。
現実には「大使」まで読まなくても「応援/」や「水の日/」あたりで押せるかもしれないし、よりメタ的な見方をするなら、ポケモンのクイズに「国土交通省」というワードが出てきた時点でまぁシャワーズだろう、という推論もできる。このように確定ポイントは必ずしも不変ではなく、見る人の意見により多少のバラつきは生まれる。
なお、「/」は確定ポイントのみならず、実際にプレイヤーがどの地点で押したかを指し示す際にも用いられる。どちらの用法であるかはおおよそ文脈で判断できよう。
 
 
確定ポイントの置き方
ここまでが前置きとなる。今回の趣旨は、「作問者は解答者の立場に立って確定ポイントを置くべき」という話である。
 
基本的に、確定は早い方が望ましい。早いといっても限度はあるが(e.g.「火を神聖/」)、終盤まで読まないと確定しない場合、全プレイヤーの押しがそこに集中するので、着順が運に左右されやすくなる(こと『みんはや』に関しては、真偽こそ不明だが、通信環境の差による影響も指摘されている)。あるいは逆に、それを避けるためのバカ押し(※確定していない、候補が複数あることを承知で押す行為)が横行する可能性もある。
そうでなくても、みんはや基準(1行だいたい20字)で3行も4行も読まされてやっと確定というのは単純に面倒だし、「実は既に確定してるのでは?」と邪推される原因にもなりうる(※問題文全体を3行未満にしろというわけではない)。
 
また、確定のための情報はなるべくなら複数仕込んでおきたい。極端な例を挙げると、「ピカチュウの進化形は?」では問題文が簡素すぎて、どこで押すかという駆け引きの余地がなくなるのは想像に難くないだろう。いわゆる「前振り」がなぜ必要なのかという答えの一つとして、前半と後半で知識のレベルを分けるというものがある。先のシャワーズの問題を例にとる。ポケモンを多少なりともプレイした経験があれば、イーブイみずのいしシャワーズというのは常識だが、水の日云々は時事要素が強く、かつゲームだけを追っていても拾いようがない情報なため、知らない人間もそれなりにいると推測される。このように前後で難易度上の落差を設けることで、解答者をふるいにかけ、より知識が深いプレイヤーだけに押させることが可能になる。前振りの担う基本的な役割の一つといえよう。
ただし、なんでもかんでも見境なく付け足せばいいわけではない。その振りが本当に必要か、本当に確定できているかをしっかりと考えて文章を練る必要がある。
 
今回はこれを踏まえた上で、いかにして確定を早めればよいか述べる。以下、「確定が遅い問題」の具体例を挙げ、その改善案を提示するという形で解説する。
 
 
パターン①邪魔な前振りをなくす
確定が遅い原因の多くは、確定に寄与しない情報を前振りに用いていることにある。
最初にわかりやすい悪例を二つ挙げる。
 
Q.受けた相手の特攻を下げる効果を持つ、『ソード・シールド』で新たに登場した、オーロンゲだけが習得できる技は何でしょう?
 
Q.『オメガルビーアルファサファイア』ではダイゴから貰うことができる、「おおぞらをとぶ」実行の際に必要な「たいせつなもの」は何でしょう?
 
まず前者について、特攻を下げる技などというのは無数にあるので、冒頭部分だけではその中のどれかということしか分からず、解答者としては答えようがない(ちなみに「受けた」がない場合技かどうかすらわからない)。「ソードシールドで新たに登場/」まで読んでもソウルクラッシュ以外にダイワームが該当するし、鎧の孤島もソードシールドの一部には違いないので、はいよるいちげきも候補に入る(それならソードシールドではなく孤島と書くはずとの推測は一応立つ)。結局「オーロンゲ/」まで読まないと確定できず、それなら初めから「オーロンゲしか覚えない技は?」とすればよくなってしまう。これでは「ピカチュウの進化形は?と実質同じ構造」と言われても、極論気味とはいえ強く否定はできない。
 
続いて後者、やはり「ダイゴから貰える」だけだとわざマシン51やデボンスコープなどいくつも考えられ、「おおぞらをとぶに必要」だけでも十分確定しているので不要と言える。
ただ、この問題で注目すべき箇所はそこではなく、「オメガルビーアルファサファイアでは」の“では”という部分である。そもそも、むげんのふえ・おおぞらをとぶORAS固有の要素(せいぜいポケスペやコマスターに出てくる程度)であり、「ORASでは」などと限定を入れなくても「おおぞらをとぶに必要な道具は?」で十分成立する。どころかむしろ、「わざわざORASと限定しているからには、他シリーズでは別な役割で登場する(=メガバングル、むげんのふえ等ではない)のでは?」と解答者をミスリードすることになりかねない。このような初歩的なミスは『みんはや』フリーマッチでもよく見られる。
 
cf.)似たような話で、逆にRSとの共通要素(デボンスコープ等)を問う際にも、「ORASでは」という文言は好ましくない。例外もあるとはいえ、原作の要素をリメイクが引き継ぐのは至極当然であり、「RSでは」なら言外にORASも含められるものを、敢えて「ORASでは」とすると、その表現を選ぶ理由がある=リメイク独自要素だと取られてしまう。
※無論、リメイクならではの特徴(宇宙センターで夢カクレオンが捕れる等)を振りに使う場合、この限りではない。
 
上記二例のような悪問が生まれるのは、作問者に解答者側の意識が足りていないからである。作問者は自分の決めた答えに沿って文を作るため、往々にしてそれ以外の可能性が頭から抜け落ちてしまう(この点、筆者も何度かやらかしている)。その結果、文章全体で確定が取れていれば満足し、「実際に解答者が途中で押すとどうなるか」まで気がまわらない。
繰り返すが早押しクイズは文が途中で切れるのが基本で、解答者がどこで押すかわからないからこそ、どこで押してもミスリードにならないように注意せねばならない(早押しでなくとも前から順に読むという点では同じなので、意識するに越したことはない)。そのためには、文の途中で押された場合解答者がどう考えるかを随時シミュレートし、問題があれば都度修正してゆく必要がある。
 
なお章題には「なくす」と書いたが、本当に前振りを丸ごと削るとそれこそ「ピカチュウの進化形は?」のごとき無味乾燥な文章になってしまう。よって短文自体がコンセプトとか、そもそもの難易度が著しく高いため短文でも十分といった場合を除き、振りの順序を入れ替えて確定を早めるか、あるいは何かしら新しい前振りと差し替えてやるのが無難である。
 
・振りを入れ替えた例
Q. オーロンゲのみが習得できる、相手の特攻を下げる効果を持ったフェアリータイプの物理技は何でしょう?
 
・振りを差し替えた例
Q.『ポケモンコマスター』では除外されたラティアスラティオスを呼び戻すプレートとして登場した、原作ゲームで「おおぞらをとぶ」に必要となる「たいせつなもの」は何でしょう?
 
 
パターン②別解を潰す
次に取り上げるのは、候補を絞れてはいるが確定までは行かないというパターンであるやはり悪例を二つ挙げる。
 
Q.『ウルトラサン』でパッケージを飾った、別名「日食ネクロズマ」とも呼ばれるネクロズマの一形態は何でしょう?
 
Q.ガラル地方各地のポケモンセンターに設置されている、正式名称を「ロトム インフォメーション」という機械の通称は何でしょう?
 
何が言いたいか大体察していただけると思う。USのパッケージは日食ネクロに決まっているし、ガラルのポケセンにあるのはロトミに決まっているのだが、じゃあ「パッケージ/」で押せるのかというと怪しく、正式名称の「たそがれのたてがみ」ではなく「日食」の方を問うている可能性が捨てきれない。「そんなもん正式名称に決まってるだろ」という主張は、素でロトミの正式名称を知り、日常的に用いていた人間にのみ許される(※というわけでもない。別に1人や2人知っているからどうとかではなく、通称のほうが流布している場合は通称で答えるのがクイズの常識である)。
 
要は指し示す内容は1択なのに呼び方が複数あるからおかしいのであって、そういう場合は別名を冒頭に置き、それが答えでないと高らかに宣言すべきである。
 
Q. 別名を「日食ネクロズマ」ともいう、『ウルトラサン』でパッケージを飾ったネクロズマの一形態は何でしょう?
 
Q. 正式名称を「ロトム インフォメーション」という、ガラル地方各地のポケモンセンターに設置されている機械の通称は何でしょう?
 
『みんはや』ランダムマッチで出るような別名問題も、大抵はこの構造になっている。前振りの種類が固定化されるという弱点はあるが、別解を設定できないみんはやの仕様上諦めるほかない。問題自体に欠陥を作るより何倍もマシである。
 
「別解候補を予め挿入し想定解でないと示す」というのは、実は別名に限った話ではない。打って変わってやや高度な話となるが、下記のような例がある。
 
Q.普段持ち歩いているバッグの代わりに「バトルバッグ」を携え、ピラミッド内の迷路を探索するという内容の、「バトルピラミッド」で挑戦できるイベントは何でしょう?
 
正答は「バトルアドベンチャー」だが、「迷路を探索/」までだとイベントの名前なのか、それを体験できる施設の名前なのかわからない。むしろ知名度から言って「バトルピラミッド」が答えと考えるプレイヤーの方が多いと思われる。これを文章力のみで峻別させるのは不可能に近く、上記テクニックを応用するのが吉といえる。
 
Q. 「バトルピラミッド」で挑戦できる、普段持ち歩いているバッグの代わりに「バトルバッグ」を携え、ピラミッド内部の迷路を探索するというイベントは何でしょう?
 
クイズは基本的に「AなBは何でしょう?→C」という体裁をとるが、このとき「C(答えのワード)」は、すべからく「B」の性質を持つ(e.g.「世界で一番高い山→エベレスト」なら、エベレストは山の性質を持つ)。
これはつまりBの箇所が読まれるまで、少なくとも形式的にはCがどのようなカテゴリーに属するワードか不明ということである(「世界で一番高い/」だと山以外にも色々ある)。形式的にはと述べた通り、実践的には多くの場合で、Bを読むまでもなくBに相当する単語は推測がつくようになっている。例えばパターン①オーロンゲの問題であれば、「受けた」や「習得できる」から繋がるワードは「技」しかありえない。
 
これが通用しないのが先のバトルアドベンチャーである。「迷路を探索/」では続く言葉が「するイベント」なのか「できる施設」なのか判断できず、こういった場合でもBを読む前に確定させたいなら、上記のような別解潰しを行うか、さもなくばカテゴリー自体を先に明言するしかない(e.g.エメのバトフロで体験できるイベントのうち、ピラミッドが提供しているのは何?)。
この「Bが予測できる文になっているか」は早押しクイズを作る上できわめて重要なポイントである。実際に問題を作ったら、解答者になったつもりでAの部分だけを読み、Bに入るワードが絞り込めるかをチェックするとよいだろう。
 
 
パターン③核心を先に述べる
パターン①は不要な振りのせいで文が長くなっているというタイプだったが、今度はそもそも一つの振りが長すぎるケースを紹介する。
 
Q.アニメ『ポケットモンスター』第6話「激闘のホウエン地方!行くぜバトルフロンティア!!」において、ハリテヤマグラエナで「バトルフロンティアビードロカップ」に参加した、フエンタウン出身のトレーナーは誰でしょう?
 
「おいて」は別にポケモン特有の用語とかではないが、とりわけポケモンクイズでよく目にする表現ではある。ポケモンがカバーするメディアはきわめて多岐にわたり、キャラクターの扱いが作品ごとに異なるなど日常茶飯事、中には同名キャラでも外見から中身までまったくの別人、といったケースすらある。こうした混同を生じやすい状況下では、「〇〇において〜」「〇〇では〜」などの限定が多用されるのも当然といえる。裏を返せば、混同の余地がない場合は限定も不要ということになる。
上記問題の限定範囲はアニメ新無印だが、新無印は無印と番組名が同一なためどう頑張っても一言で表せず、「現在の」「2019年開始の」みたいな奥歯に物が挟まった言い方をするしかない。そのうえサブタイトルまで付け足すと字数が際限なく増えてゆく。上記例は開き直って番組名を正式名称のみに止めているが、それでも長い。アニメに限らず、ポケモンには正式名称だけでみんはや1行を超えるような作品が多々ある。そういった場合にも早い位置で確定させられるかが作問者の腕の見せどころである。
 
Q.ハリテヤマグラエナを連れて「バトルフロンティアビードロカップ」に参加した、アニメ『ポケットモンスター』に登場するフエンタウン出身のトレーナーは誰でしょう?
 
アニメ6話の説明を省き、ホウジ個人の特質を前面に出した。ホウジは新無印およびそのコミカライズにしか登場せず、また「バトルフロンティアビードロカップ」も新無印オリジナルの用語であるため、わざわざアニメ〇話と前置きしなくてもアニメを見ている人間にはどの回の話か自明となる。ハリテヤマグラエナという手持ちは特徴的なので、バトルフロンティアすら読む必要がないかもしれない。アニメポケモンという部分は残しているが、これがないと広くポケモンシリーズ一般に出てくる人物と取られかねない。こちらの限定はあった方がよいだろう。
いずれにせよ、この問題の核心はハリテヤマグラエナバトルフロンティア〜に参加したという部分だけであり、ここを聞くまでは何も確定しない。ならば言わなくても伝わる範囲指定は後に回し、確定に必要な要素を先に置くのが妥当である。この「範囲(作品、媒体名)を倒置する」という手法は汎用性が高く、混同のリスクにさえ気を付ければ幅広く使える。
 
さらに一つ、振りが長い例を挙げる。
 
Q.「ちいさくなる」状態のポケモンに与えるダメージが増加する技のうち、唯一のZワザは何でしょう?
 
これはかつて筆者が実際に出した問題の、推敲前の状態である。見ての通り確定が非常に遅い。定量的にはむしろ短い部類だが、割合でいうと8割強を読まされている。ホウジの問題と比べると文章ほぼ全体が核心であるため、核心部分の位置を動かすというより、核心部分内で読む必要量を減らす方針をとった。
 
Q.Zワザの中で唯一、「ちいさくなる」状態のポケモンに対して与えるダメージが増加する技は何でしょう?
 
こちらが公開時の問題文である。確定が遅い原因は明白で、「ちいさくなる状態のポケモンに与えるダメージが増える技」と「Zワザ」で文字数が違いすぎることにある。どちらを先に持ってくるにしても両方の条件を言わないと確定しない以上、長い方を前にすれば読む量が増えるのは必然といえる。
※ただしこれは、「Zワザ」と「ちいさくなるメタ技」という集合が互いに独立だからできる芸当である。一方がもう一方の集合を包含しているときは、当然上位の集合を先にせねばならない。
 
また字数以外の面でもう一つ、後者を優先すべき理由がある。想像してみればわかると思うが、「ちいさくなる状態でダメージが増える技」を過不足なく挙げられる人間は限られているのに対し、Zワザは時間さえかければ全部出せるという人間も珍しくない。そういうプレイヤーは「Zワザの中で唯一」が見えた時点でその中のどれか一つを答える問題であると察し、「ちいさ/」あたりで続く文章を完全に特定してボタンを点けるだろう。逆に前者を先にすると、時間内に一つでも多く思い出すことに意識が行ってしまい、先の展開を読むところまで頭が回らない。
作問者はある種、解答者の思考をコントロールできる立場にある。その責任を理解せず感覚で走り抜けようとすれば、以下のような事態を招くこともある。
 
 
パターン④情報を増やして確定にさせる
Q.ほのおタイプの技で受けるダメージを軽減する効果を持つ、かつてドーミラードータクンのみが有していた特性は何でしょう?
 
例によって、「ほのおタイプの技で受けるダメージを軽減」だと「あついしぼう」「すいほう」も該当し(※さらに付け加えるなら「オッカのみ」、もっと言うと「フィルター」や「マルチスケイル」も難癖のレベルでは言える)、前半部がまるまる無意味な情報の羅列となる。ドーミラー系統には3特性あるがこのうち専用だった時期があるのは「たいねつ」だけなので、ここだけで確定しており前振りは不要である。
 
パターン①や今回の問題を見て、「ただ不要なだけならあっても構わないのでは?」と思う向きもあるかもしれないが、今は早押しクイズについての議論だということを忘れてはならない。この問題が実際に出たとして、もし解答者の中に「すいほう」のダメージ半減効果を知らない、あるいは忘れている人間がいれば、その某にとっては前振りだけで「たいねつ」1択となってしまう(※「あついしぼう」ならこおりタイプ、「オッカのみ」なら効果抜群時という情報を抜くのは不自然なため。「すいほう」でも他の効果を省くのは不自然だが、「ダメージを軽減/」の時点では省いているかの判断がつかない)。結果どうなるかというと、無知ないし注意力不足で「たいねつ」と決めつけた人間が1stポイントを奪取し、「すいほう」の可能性を考慮して慎重に待った人間が馬鹿を見ることになる(パターン①修正前でもソウルクラッシュとダイワームで同じ現象が起こりうる)。これは知力を競う競技としてあるまじき事態である。
初めから全部を知っている作問者と違って、解答者は初見かつ時間制限付きという条件を課されているため、前述のようなミスをしても責められない。悪意はないのだから不運な事故のようなものだが、事故は予測できるなら回避すべきである。解答者の思考を100%読み切るのは不可能としても、思いつく限りの事故要因を事前に潰しておくのが作問者の仕事であり、「解答者の立場に立つ」ということである。
 
この問題の場合、振りを消したり順序を逆にする以外に、「たいねつ」が持つもう一つの効果「やけどのダメージを半減する」を盛り込むことでも解決を見ることができる。「ほのおタイプの技や「やけど」で受けるダメージを〜」などとすれば、「すいほう」その他との差別化でき、非の打ちどころのない文章となるだろう。確定に役立たない振りでも、消すのではなく逆に情報を付け加えることで確定まで持っていけることがある。ただし補足のしすぎで文章が取っちらかるぐらいなら諦めた方がよい。
 
cf.)本当に炎技の“ダメージ”を軽減なのか?という疑問について一応回答しておくと、補正箇所はいくら検証を重ねても推測レベルでしか結論を出せず、そもそもそのような検証結果まで解答者に知識として求めるのはあまりに理不尽が過ぎるため、割り切るしかないと考えている。
 
 
パターン⑤修飾語を削る
また、こうした致命的な不具合を生まなかったとしても、そもそも解答に関係ない情報が文章に含まれているのはストレスフルである。以下の例は悪問というにはやや弱いが、説明のために挙げておく。
 
Q.殿堂入り後は春限定でシンオウ地方のチャンピオン・シロナと戦える、『ブラック・ホワイト』で登場したイッシュ地方の町はどこでしょう?
 
やはり間違ったことは言っていないが、一部余計な修飾語が目につく。
ポケモンでシロナといえばシンオウチャンピオンのシロナであり、「シンオウ地方のチャンピオンでないシロナ」などというのは(少なくとも現在知られている時系列上には)存在しないので、わざわざ肩書きを入れなくても「シロナ」だけで十分特定できる。むしろ付け加えることで冗長になったり、「春限定でシンオウ/」のような押しをされて余計な混乱(シンオウなのに季節?)を招くことを恐れるべきだろう。そしてサザナミタウンはそもそも殿堂入り後にしか行けない場所であり、「殿堂入り前のサザナミタウン」もまた(プレイヤーが知りうる範囲では)存在しないため、わざわざ断りを入れる必要はない。「BWで登場」という部分も、イッシュ地方の町であればほとんどがそうなので不要だろう。「春」も情報の重要度としては低い(他の季節に別人が戦いに来るわけでもない)ので本来的には不要だが、これがないと「PWT」や「バトルツリー」が答えになりかねず、今回に限っては大事な確定要素と言える。
まとめると「春限定でシロナと戦えるイッシュ地方の町」だが、これでは短すぎてやや寂しい。実際に出題するならブルジョワール家やヴィオマリンチューブといった情報を適宜加えてやるとよいだろう。
最初に言ったが、こちらの例はそもそも致命的な欠陥を抱えているわけではないので、上記のままでも違和感なく受け入れられる可能性は高いし、この辺りまで来れば好みの問題と言えるかもしれない。
 
 
まとめ
大前提として、早押しクイズは文章が前から順に読まれ、ボタンが押された時点で読み上げが途切れるため、文章全体で整合性が取れていればよいというものではなく、文章のどこを途中で切ってもミスリードを生まないように気を配る必要がある。これは大変な作業で、筆者自身完璧にこなせているかと問われれば返答に窮する。が、困難であるからと言って避けてよいことにはならないので、作問をする以上可能な限り努力すべきである。
 
 
※サムネ用

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